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ファミリー・ビジネスを貫いてきた「トラサルディ」が株式の60%を投資会社に売却

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創業以来ファミリー・ビジネスを継承してきたイタリアブランドのトラサルディ(TRUSSARDI)が、株式のおよそ60%を伊投資会社クアトロアール(QUATTROR)に売却した。新設された持ち株会社のレヴリエーロ・ホールディングス(LEVRIERO HOLDINGS以下、レヴリエーロ)が、トラサルディの株式を100%保有する親会社フィーノス(FINOS)の株式を86%保有しており、そのレヴリエーロの株式70%をクアトロアールが買収したため、結果としてクアトロアールがトラサルディの株式を60%程度保有しているという構造だ。なお、レヴリエーロの株式の残り30%は創業者のひ孫にあたるトマソ・トラサルディ(Tomaso Trussardi)=トラサルディ最高経営責任者(CEO)が保有しており、同氏はこれを機にトラサルディとフィーノスの会長に就任する。

 取引の詳細は非公開だが、アンドレア・モランテ(Andrea Morante)=クアトロアール会長は、「5000万ユーロ(約62億円)程度の増資となるので、トラサルディの資本および財務構造はかなり強化されるだろう。当社は、豊かな歴史と高いブランド価値を持ちながらも、資金難や世代交代によって厳しい事態に直面して再建が必要なイタリアの消費財やファッション関連企業に投資している。トラサルディは、ラグジュアリーセクターや“メード・イン・イタリア”の輝かしい歴史を作ってきたブランド。アーカイブも素晴らしく、モダンによみがえらせることができると思う」と述べた。モランテ会長は現在、セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)の会長でもあり、2009~15年にはポメラート(POMELLATO)のCEOを務めていた。

 トラサルディCEOは、「ブランドを継続させるにあたり、最高の条件で取引できたと確信している。モランテ氏は金融とラグジュアリーの両分野に精通しており、アグレッシブな買収者ではない。企業価値を高めることに注力して、ブランド復活を支援してくれるだろう」と語った。同社の18年度の売り上げはおよそ1億5000万ユーロ(約186億円)で、「トラサルディ」と「トラサルディ ジーンズ(TRUSSARDI JEANS)」は47カ国で販売されている。ファッションに加えて、香水やアイウエア、家具など多数のライセンス製品があり、カフェやレストラン事業にも進出している。なお、日本では17年6月に八木通商が60%出資で日本法人を設立している。

 トラサルディは1911年にダンテ・トラサルディ(Dante Trussardi)が創業。その孫にあたるニコラ(Nicola)とその妻で現在社長を務めるマリア・ルイサ(Maria Luisa)には4人の子どもがおり、トマソはその次男だ。ニコラは99年に交通事故で死亡し、長男であるフランチェスコ(Francesco)も2003年に交通事故で死去している。長女のベアトリス(Beatrice)は、16年に所有していた25%の株式を家族に売却し、現在は一族の不動産事業と財団を統括している。次女のガイア(Gaia)は「トラサルディ」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたが、18年4月に退任している。後任は未定のままだ。

 クアトロアールは17年の設立以来、今回が3つ目の案件となる。他には、伊エンジニアリング会社のファジョーリ・グループ(FAGIOLI GROUP)と、同セラミック製造会社のセラミーチェ・リチェッティ(CERAMICHE RICCHETTI)に投資している。