


メンズファッション界を牽引するデザイナーの1人、キム・ジョーンズ(Kim Jones)。2003年に自身のブランドを立ち上げてからこれまで、「アンブロ(umbro)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「ダンヒル(dunhill)」などでデザインを手掛け、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」を経て「ディオール オム(DIOR HOMME)」のアーティスティックディレクターに抜擢された。コラボレーションにも長け数々のヒットを生み出し、クラシカルなメンズウェアにハイファッションとストリートスタイルの融合をもたらしてきたキム・ジョーンズの軌跡をたどる。
14歳でクリエイティブな世界を志す
1973年にイギリスのロンドンで生まれたキム・ジョーンズ。生後3ヶ月で、世界を駆け巡る家族とともにエクアドルに移った。幼少期は、エチオピアやケニア、タンザニア、ボツワナなどアフリカのカリブ海諸国を転々とする遊牧民的な生活を送りながら、合間を縫ってロンドンに戻っていたという。
14歳で「ファッションこそが自分の世界を築くことができるもの」と気づき、クリエイティブなキャリアを志すようになったキム。1998年にカンバーウェル大学でグラフィックデザイン学士課程を修了した後、2001年にはロンドンの名門校セントラル・セント・マーチンズ芸術大学でメンズウェアの修士号を取得した。
2003年に自身の名前を冠したレーベル「キム ジョーンズ(KIM JONES)」を立ち上げ、2004年春夏ロンドンコレクションでデビュー。2004年にはパリにデビューし、5シーズンに渡ってランウェイを経験した後、「キム ジョーンズ」として最後のコレクションは2007年2月にニューヨークで発表した。
英国のハイストリートスポーツウェアブランド「アンブロ」のデザイナーに抜擢され、「アンブロ バイ キム ジョーンズ(UMBRO BY KIM JONES)」を手掛けて高い評価を得た他、「トップマン(TOPMAN)」「マルベリー(MULBERRY)」「アレキサンダーマックイーン(Alexander McQueen)」でデザインを経験。
2006年には英国ファッション協議会の「メンズウェア デザイナー オブ ザ イヤー(Menswear Designer Of The Year)」を受賞。2008年から2010年まで「ダンヒル(dunhill)」のクリエイティブディレクターを務め、メンズウェアとレザーアクセサリーのデザインを統括した。
退任後の2011年から2018年1月までは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズ部門のアーティスティックディレクターに就任。「クリストファー・ネメス(Christopher Nemeth)」や「シュプリーム(Supreme)」「フラグメント(fragment design)」とのコラボレーションを実現し大きな話題に。
自身の活動としても、「ジーユー(GU)」や「ナイキ(NIKE)」といったブランドと次々とコラボレーション。ハイファッションとストリートの距離を縮めてファッション界にインパクトを与えると共に、ヒットを生み出し続けている。
ルイ・ヴィトンからディオールへ
「ルイ・ヴィトン」を離れてから約2ヶ月後、「ディオール オム(DIOR HOMME)」のレディ・トゥ・ウェアとアクセサリーコレクションのアーティスティックディレクターに就任。2018年6月23日にファーストコレクションを発表する。キムは就任に際し、以下のように述べている。
「ディオールは究極のエレガンスを象徴するシンボルです。そのディオールに加わることができて、大変光栄に思います。このような素晴らしい機会を与えてくれたベルナール・アルノーとピエトロ・ベッカーリに心から感謝しています。これから、メゾンが築き上げてきたユニークな伝統をベースとして、モダンで革新的なメンズスタイルを生み出すことに貢献していく所存です」。
デザイナーとしてデビューしてから約15年。キム・ジョーンズは第一線でメンズファッション界を牽引しながら、スポーツやストリート、ファストファッションといった分野にも影響を与え、新風を巻き起こしてきた。「ディオール オム」ではどのような世界観で革新をもたらすのか。注目を浴びている。